芸能人の不倫が報じられるたびに、ワイドショーやSNSは大きな話題で持ちきりになります。なかには「本人たちの問題なのに、なぜこんなに叩かれるの?」と疑問を持つ人もいるでしょう。しかし、多くの人が強い怒りや嫌悪感を覚えるのは事実です。
そこには、単なるゴシップへの興味以上に、裏切りや不公平感、社会的な影響力への反発といった複雑な心理が隠されています。本記事では、芸能人の不倫が「許せない」と感じられる理由や、スキャンダル報道に人々が敏感になる背景を解き明かしていきます。
芸能人の不倫が許せない気持ちの正体

芸能人の不倫が許せない気持ちには、実は自身の過去の経験や現在の状況に対する気持ちが隠されていました。自分では気づいていない気持ちの正体について見ていきましょう。
裏切られたショック
芸能人はテレビやSNSを通じて、清潔感や誠実さ、家庭的な一面など「理想の姿」を見せています。しかし、不倫が発覚することで応援していた姿がなくなってしまい、信じていた像が壊されてしまいます。
理想の姿を信じて、憧れの気持ちから応援していた人ほど、裏切られたショックを感じるでしょう。

家族を大切にする人だと思っていたのに・・・。
芸能人は遠い世界にいるようで、いつでも身近に感じられる存在です。だからこそ、不倫報道により芸能人のイメージが異なると、これまでの繋がりが断ち切られたような気持ちになり、憤りを感じるのです。
自分の経験と照らし合わせている
過去に浮気や裏切りを経験した人にとって、芸能人の不倫は自分の痛みを思い出すきっかけになります。その時の怒りが乗っかることで怒りの気持ちが膨らんでいき、不倫した芸能人を許せない気持ちになるのです。

不倫するような男は、全て同じ悪い人間に見えます。
裏切られた痛みを知っている人は、被害者の気持ちに強く共感します。その気持ちが、強い怒りや嫌悪感となって表れることもあります。
このように、浮気された経験がある人ほど、不倫や浮気に過剰に反応してしまうのです。
自分も不倫されるかもしれない恐怖心
芸能人の不倫に強く反応してしまうのは、「自分も不倫されるかもしれない」「もしかしたら、自分のパートナーも同じことをしているのかも」という恐怖心が芽生えるからです。特に夫婦関係に不安を感じている人ほど、パートナーの裏切りを意識してしまうでしょう。

どんな人でも、不倫されることがあるのね・・・。
幸せそうな家庭を築いているように見えた芸能人が不倫をしたことで、「どんなに仲が良くても裏切りは起きる」ことを知り、自分の中の安心が揺さぶられてしまいます。
中には被害者と自分を重ねてしまい、「自分だったら耐えられない」という気持ちが、許せない気持ちに繋がることもあります。
嫉妬心からくる過剰反応
多くの人は日常生活で「浮気はダメ」「家庭を大事にしなければ」というルールを守っています。そのため、そのルールを破って楽しんでいる芸能人を見ると、「自分は我慢しているのに、なんであの人は許されるの?」という嫉妬心が怒りとして表れるでしょう。
「本当は自分もときめきや刺激が欲しい」という気持ちを心の奥に持っていると、芸能人の不倫が自分の欲望として映し出されます。その時、「そんな気持ちを持つ自分が嫌だ」という自己嫌悪が、芸能人への強い批判にすり替わることがあります。
また、芸能人そのものに憧れや嫉妬心を抱いている人は、自分よりも上の存在だと思っていた人が周囲から叩かれる存在となることで、自分が優位になったと感じる人もいるでしょう。
芸能人・他人の不倫が許せないのは正義中毒が原因!
不倫は「家庭を壊す」「配偶者や子どもを傷つける」という、一般的な価値観に反する行動です。そのため、自分の中の正義感が揺さぶられると、「自分なら絶対に許さない」「ルール違反だ」という感情から怒りや拒絶反応が生まれます。
人は他人に「正義の制裁」を加えることで脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出されます。この快楽にはまってしまうと、「人を叩くことで気持ちよくなる」=正義中毒の状態に陥りやすくなります。

SNSになると執拗に叩きたくなる、アンチが現れるのはこのためです!
SNSやワイドショーでは「不倫=絶対悪」という空気が作られやすいです。その流れに乗って叩くことで、「みんなと一緒に正義を守っている」という連帯感が感じられます。「自分は正しい側にいる」という安心感が、さらに正義中毒を強めてしまい、簡単には抜け出せなくなってしまうのです。
また、「不倫をした芸能人」を叩くことで、自分の中の怒りや不満を正当化しながら吐き出せるため、ストレスの吐口になりやすいのも原因の一つです。
許せない芸能人の不倫トップ3

ここでは実際に、世の妻たちが許せないと感じる芸能人の不倫トップ3を紹介します。ワイドショーやSNSでも何度も話題に上っていたため、記憶に新しい人も多いでしょう。
3位:元ジャングルポケット・斉藤慎二
斉藤は、2023年8月『FRIDAYデジタル』が、キャバクラ勤務の女性との不倫を報じた。さらに昨年10月には、7月にロケバスの中で20代女性に対し性的暴行を加えたとし、不同意性交と不同意わいせつ容疑で書類送検された。当時所属していた吉本興業は、斉藤とのマネジメント契約を解除。現在、斉藤はSNSで告知するなどし、バウムクーヘン販売行っている。
出典:ピンズバ
斉藤は元々好感度が高かったため、一度目の不倫報道で「良いイメージがあったのにショック!」「一気に無理になった」といった声が殺到していました。その後、二度目の不倫報道では仕事の合間にわいせつ行為を働いていたことで、多くのファンを失うことに。
妻の瀬戸が毎度SNS上で謝罪コメントと共に夫を擁護する内容を投稿しており、「斉藤の女遊びは今に始まったことではない」と伝えたことが、世の女性の怒りを強めています。
2位:アンジャッシュ・渡部建
2020年6月、『週刊文春』が報じた渡部さんの不倫は、衝撃的な内容でした。“多目的トイレ”という場所を使い、複数の女性に“チップ”として1万円を渡していたというもので、渡部さんは当時のレギュラー番組をすべて降板、1年8カ月に及ぶ謹慎生活に追い込まれました。
出典元:Yahoo! JAPANニュース
当時渡辺は、レギュラー番組を9本持ち、タレントの最高峰と言われるMCも務めるなど、テレビで見ない日はないくらいに活躍していました。そんな渡辺が突然全ての番組を降板し、芸能活動を自粛。不倫報道から会見が遅くなったことに批判が殺到していました。
元々あったクリーンなイメージ、美人女優と結婚して第一子が生まれていたこともあり、渡辺の裏切り行為は許し難い行為として、今でも注目を集めています。不貞行為を働いた場所も不快さを増し、幼い子供を育てる妻の佐々木希に同情する気持ちから、「許せない」「ありえない」と怒りを感じる人がほとんどです。
1位:東出昌大
東出は、2020年に『週刊文春』が映画で共演した唐田えりかとの“3年不倫”を報じた。当時、結婚して5年になる妻だった杏とは別居しており、2人の関係は、杏が第3子を妊娠しているときから続いていたという。杏とは同年7月に離婚、東出は2024年に元女優との再婚を発表し、今年2月には女性との間に第一子が誕生したことをYouTubeで報告していた。
出典元:ピンズバ
不倫関係が3年間続いていたことや、子どもが3人いるのに一人だけ遊んでいたことなどが怒りを買う形になっています。離婚後も養育費を払っていないという話などもあり、傷つけた杏を差し置いて、新たに家庭を築いていることにも不快感を示している人が多いです。
芸能人の不倫が炎上する理由

芸能人の不倫が許せない気持ちには、様々な心理が隠されていることがわかりました。しかし、許せない気持ちが強いことと、炎上してしまうことはイコールではありません。
なぜ、芸能人の不倫は他の問題よりも炎上しやすいのでしょうか?その理由を探って見ました。
自分が正しいことを証明したい
芸能人の不倫が炎上しやすいのは、叩くことで自分が正しいことを証明したい人たちが集まるからです。
他人を叩くことで 「自分は不倫をするような人間じゃない」という安心感が得られます。自分の道徳心や価値観を守りたい、認められたいという気持ちが他人の悪事を捌くことに繋がるのです。先に紹介した正義中毒も関係しています。

悪いことをした人を成敗している様子を見ると、スッキリします。
社会的に悪とされる行為を非難する側にいることで、私は正しい側にいると感じられます。そのため、強く叩いている人に乗っかる人が増えていき、炎上しやすくなるのです。
マウントをとりたい
芸能人の不倫が炎上しやすい理由には、マウントを取りたい気持ちが隠されています。
芸能人という成功者が不倫をしたときに、「あんなに地位やお金があっても人としてダメじゃん」 と批判することで、一時的に自分の方が上に立てるからです。芸能人に対する憧れや嫉妬心がある人ほど、マウントを取りたい気持ちは強くなります。

もてはやされているけれど、芸能人もただの人!と思えると安心します。
また、日常生活で劣等感や不満を感じている人ほど、芸能人の失敗を利用して優越感を得たい心理が働きます。批判する自身の投稿にコメントやいいねなどの反応が増えれば増えるほど、一時的に有名人になったような気分を味わえるでしょう。
そのような状況が承認欲求を満たし、過激な投稿が増えていくのです。
攻撃的な意見が目立つから
ネガティブな意見や強い言葉は、人の注意を引きやすく、記憶に残りやすいものです。そのため、SNSでは養護する意見よりも攻撃的な意見が目立ちます。攻撃的なコメントは人の感情を刺激するため、拡散されやすく、少数の強い批判が多数の声に感じられます。

アンチばかりがいるコメント欄を思い出します・・・。
炎上が始まると、同調圧力により、批判する人よりも擁護する側が攻撃されやすい構造も炎上を加速させることに繋がります。「批判する側に回っておいた方が安全」という心理が働き、さらに攻撃的な意見が増えていくでしょう。
まとめ|芸能人の不倫が許せない人は自分と比較している

芸能人の不倫が炎上しやすい背景には、「正義感」や「社会的なルール違反への反発」だけでなく、私たち自身の心の比較が大きく関わっています。
華やかで成功しているように見える芸能人が道を外れたとき、無意識のうちに「自分より恵まれているのにどうして?」と比べてしまい、怒りや嫉妬の感情が刺激されるのです。
また、強く批判することで「私はそんなことをしない」「自分の方が正しい」と優位性を確認し、安心感を得ようとする心理も働きます。つまり、他人の過ちを通して自分の価値や立場を証明したい気持ちが炎上の燃料になっているのです。
不倫をどう捉えるかは人それぞれですが、その感情の正体を知ることで、過剰に振り回されずに冷静に向き合えるようになるのではないでしょうか。